スペース倶楽部vol.168(2020/4)
★★★飲食店の撤退★★★
いよいよ桜も咲いて春本番といった今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?これからどんどん良い季節になっていくのですが、昨今のコロナ騒動の影響でどうしても自粛ムードが漂い、なんだか寂しい感じです。飲食店や接客店舗の経営者の皆様から「客足が減った」という声をよく聞きます。それだけが理由では理由ではないのでしょうけど、なかには店舗撤退を検討される方もいらっしゃいますので、良くない流れになってしまっている感じです。
今回は飲食店舗の撤退に関するお話をします。今のテナントがやめられて、単純に解約明け渡しをする場合と、今のテナントが次にやりたい方を見つけてきて「借主の名義変更」をして欲しいといわれる場合があります。前者であれば契約書の各条項に則って解約手続きをすればよいだけですが、後者の場合は、注意が必要です。後者の場合、契約書上で今のテナントに「第三者への造作譲渡」を認めていることが多いです。今のテナントは「自分には(お店の中にある)自己の所有物(造作)を誰かに譲渡(売却)する権利がある」として、それらを買ってくれる人に契約を引き継がせてください(名義変更による契約の継続)といった話を持ってきます。
賃料収入の空白がないため、一見その通りかなと思いますが、冷静に考えてみますと「次に誰に貸すか」を決定するのは物件オーナーの権利です。造作を買うと名乗りを上げた方に、今のテナントの利益のために貸さなければならない謂われはありません。また「借主の名義変更」は、確かに合理的な面もありますが、それが2代・3代と続くと物件管理上の問題、例えば過去にあった造作(給排水・ガス設備)のトラブルの申し送りがあいまいになって、最終的にテナント側が責任逃れをすることが、経験上非常に多いです。
これらのテナントが撤退する場合には、今のテナントとの契約は終わらせて、次にやりたい方がいる場合であっても新規の契約として扱う、といったやり方をした方が良いです。新規の契約であれば、賃料条件の見直しもできますし、物件内の状態も把握した上で特約条項にいろいろ盛り込めますので、契約期間中と退去時のトラブル回避が容易となります。
テナント物件は、「お店」である以上は出来るだけ長く繁盛してほしいと願っておりますが、いざ撤退の場合は、住居と違う部分も多々あります。「テナントからこんなことを言われた」「撤退トラブルになっている」などでお困りのことがございましたら、ぜひ当社へお声がけください。
株式会社スペース