壁 中野の不動産会社スペースが向き合った課題と解決

不動産管理に現れる様々な「壁」。
弊社はいかにして「壁」を突破してきたか、
お客様の前に立ち塞がる「壁」取り払ってきたか、
毎回1人の社員に焦点を当てながら紐解きます。

13Dec-2016

不動産によくある原因不明の未経験トラブルの「壁」~現場主義でトラブルに即時対応!その後、腰を据えた根本解決に導く物件管理担当~

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●漏れている形跡のない漏水!?~未経験トラブルにどう対処するか~

 

 約1年前、株式会社スペースの管理物件メンテナンス担当・小林伸行は、神奈川県某所にあるトランクルームの前にいた。同社の管理物件であるこのトランクルームで漏水が発生し、小林はその状況確認のために、オフィスのある中野から約2時間かけてやってきたのだ。
 
小林は不動産業界歴20年。大学卒業後、ハウスメーカーに就職してアパート建設の営業を担当。その後住宅販売会社、親戚が経営する不動産屋を経て、2010年にはファンドを運営するPM(プロパティ・マネジメント)会社に入社する。この会社でショッピングセンターや大学キャンパスなどの大型施設を管理する部署に配属され、2015年にスペースに入社して以降は管理物件の共用部の設備のメンテナンスを担当している。本人は自らを「業界では青二才」と謙遜するが、業界の各分野を渡り歩いてきたユーティリティープレイヤーである。
 
そんな経歴を持つ小林でも、冒頭のトランクルームの前では頭を抱えていた。漏水自体は、建物の管理を担当する者にとってはよくあるトラブルである。室内には湿気がこもり、置いてある荷物はみなカビだらけになっていたため、漏水していることは間違いない。しかし、漏れそうな所を調べてみても、原因が見つからなかったのだ。
 
「一体どういうことなんだ……」
 
これまでの約20年を振り返ってみても、こんなケースははじめてだった。とはいえ、何もせずに帰るわけにもいかない。ひとまず応急処置を施して、様子を見ることにした。

 

●他の現場で突如閃いた解決策

 

 すると数日後、案の定トランクルームの利用者から「また湿気が出てきた」との連絡が入り、またしても小林は中野から2時間かけて現場へ向かうことになる。その後小林は、このパターンをしばらく繰り返すこととなってしまった。スペース入社早々、大きな壁が立ちはだかったのだ。
 
他の業務をこなす中でも、トランクルームのことが頭から離れない。原因がないのに水が漏れるわけがないのに、なぜ……。
 
そんな日々を送っていた小林だが、ある日、他の現場の工事に立ち会っていた際に、突如閃いた。小林は言う。
 
「その現場の排水管の構造が例のトランクルームと一緒なのではないかという仮説を立ててみたんです」
 
その排水管は、排水口が地中に埋まっているタイプで、雨水を土に浸透させるしくみのものだったのだが、大雨などで過剰に水が入ると逆流し、それが室内に入ってしまう構造になっていたのだ。早速小林はトランクルームで実験を試みた。すると、予想通り水が漏れ出したのだ。
 
原因がわかれば、同時に解決策も見える。排水管の構造を見直し、トランクルームの漏水問題は無事に解決した。丸1年かかったが、大きな壁を突破した。

 

●営業時代から積み上げてきた現場を見る経験値

 

 いくら業界歴20年とはいえ、なぜ技術者ではない小林が他の現場の施工方法から解決策を導き出すことができたのだろうか。
 
これについて小林本人は「やっぱり現場を見ていたからこそ答えが出たんでしょうね」と、その要因を分析する。
 
「規模の大きい会社だと、どうしても現場に行く回数が減ってしまうのですが、スペースの場合は規模としてはいわゆる中小企業のカテゴリに入るような会社なので、小回りがきいてある程度現場を見ているのかなと。また、トランクルームの件は神奈川なので場所としては特例ですけど、地元の中野っていう場所だからという理由でお任せいただいているお客さまが数多くいらっしゃるので。だからできるだけ小回りはきくようにしたいと思っています」
 
ただ、冒頭のトランクルームの場合、場所もさることながらマンションに隣接した入居者専用のトランクルームという特殊な建物であったため、現場からしてあるトラブルのパターンに当てはまるものではなかった。
 
小林曰く「現場の数を踏んで経験値を上げておくことが、この仕事をしていく上ではそれが必要ですね」とのこと。では、具体的にどのようにして経験値を上げてきたのだろうか。
 
「不動産っていろいろな人生の節目に出会う機会が多いんです。たとえば大学に進学するので一人暮らしを始めるっていうのもそうだし、結婚してワンルームから2DKに引っ越すのもそうだし。だから賃貸の営業をやっていた頃はどういう節目で、なんで借りたいのかっていうことをよく聞くようにしていました」
 
営業とメンテナンスは一見あまり関連性がないようにも思えるが、営業時代のこうした経験が、今に活かされているのだという。
 
「今はメンテナンスの仕事が中心ですけど、『○○が壊れた』っていう第一報ってほぼ100%電話なので、どこがどういう状況で、どうなっているかをまず聞く必要がある。一口に「水が漏れている」ではなく、どれくらいの勢いで漏れているのかとか。そういうのが判断材料になっていきます。そういった面でいえば、「聞く能力」は身についたのかなっていう気はしますね」

 

●“突拍子もないトラブル”に直面し続けてきた

 

 メンテナンス業務の宿命ともいえるトラブル対応が続くと、仕事を投げ出したくなってしまいそうなものである。だが小林は、さまざまなトラブルに直面してきたため、「よっぽどのことでない限りはドキドキしないです」と笑う。
 
「前に勤めていたPM会社の時の話なんですけど、管理しているビルの警備員が不注意でシャッターを壊したとか、そういった突拍子もないトラブルも結構経験しています。たしかにそういうトラブルがあったりすると関係各所から怒られることもあるので、それが続くと嫌になって業界を去っていく人がいるのも事実です。だけど、私の場合はトラブルに直面しても『よし、解決するぞ!』という気持ちになれる。もちろん問題が発生したときは辛い思いもしますけど、それも含めて、ある意味では楽しんでしまっています」
 
丸1年かかっても音を上げずにトラブルに向き合う小林の心臓は、並大抵の強さではない。こうした前向きな姿勢が、あらゆる壁を突破する原動力となっているのだ。

 

●「物事を突き詰める力」の背景にある先輩の教え

 

 また、これまで不動産業界に身を置いてきた中で、若い頃に勤めていた会社の先輩から言われたひと言が、小林が仕事をする上での糧になっている。
 
「『売れない不動産、入居者が決まらない不動産は世の中にはない。必ず希望者がいる』という言葉です。相場というものがあるので、需要と供給に見合った値段をつければ必ずお客さまがつくから、ということはよくその先輩から指導されましたね。つまり、決まらない時は何か手を打たなければいけないですから、ただ待ってるだけではダメだっていうことです」
 
不動産業界で働く者の多くは、なかなか契約に至らないと、つい「客が悪い」とか「物件が古すぎるからだ」といった、自分以外のせいにする考え方に陥りがちだ。だが、小林はこう考える。
 
「たしかに築年数などは価格を決める重要な要素のひとつではあります。けれども、その物件が古すぎて契約できないのであれば、できる限り改修して見せ方を変えるとか、いろいろ方法はあるはずなんです」
 
先輩の教えを常に頭に置き続けた結果、営業とは直接関係ない現在のメンテナンス業務でも、トラブルの原因は何か、バックグラウンドにあるものは何か、真実はどこなのかと、目の前に立ちはだかる問題を突き詰めていく気持ちになっているという。
 
「変な好奇心を持ってしまうんです。たとえば先ほどの漏水なら、ただ漏れ出している箇所を止めればいいじゃないかという考え方の人もいる。けれども、ただ止めただけなら『はいそれまで』の世界ですけど、そこから先にあるものを考えるようにしています」
 
工事はただ価格を安く抑えられればいいというものではなく、質も問われる。当たり前のことのようにも思えるが、どうしても価格だけに目が行きがちな顧客にとっては、こうした小林の考え方は視野を広げるきっかけになることだろう。
 
「心がけているのは、経験がすべてではないってことです。経験一辺倒になってしまうと、凝り固まった考え方しかできなくなってしまうのかなと思います。かっこいい言い方をすれば「知的好奇心」っていうんでしょうか。いろんな業者さんにもわからないことはすぐに聞いてしまう。もちろん聞くのが恥ずかしいときもありますけど、それが肥やしになっているのかなと思います」
 
こうした台詞も、オフィスにでんと座っているだけでなく、現場に行く数を踏んでいるからこそ出てくるものであろう。
 
スペースの管理物件を支える男の言葉は、頼もしい。

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